ミッションに裏打ちされた「派遣という生き方」のサバイバルツール『派遣 「勝ち組」へのステップアップ法』

日経新聞→コンサル会社→Webニュース「MyNewsJapan」の代表という経歴を持つ、渡邉正裕さんのブログに、最近こんな一文が掲載されていました(「キーエンス新卒主義の教え」http://www.mynewsjapan.com/blog/masa/55/show)より)。

■人間は、最初に入った環境には容易に順応する
 こうしてみると、社会人1年目のスタートが決定的に重要だ、ということがよくわかる。

(中略)

 だから、新卒でいきなり非正規社員になって2年もやってしまったら、もう取り返しがつかない。人事もそこを見ている。IBMの採用マネージャーに話を聞いたことがあるが、年齢よりも、社会人キャリアをどこでスタートしているか、「ファーストキャリアが重要」だ、と言っていた。

ほんとうにそうなのだろうか?

僕自身は「正社員」という立場なのですが、仕事場でも、プライベートでも様々な派遣社員の方とお会いしています。
様々なファーストキャリアを持つ「派遣社員」の人は、「取り返しのつかない」ケースもあるのだろうか?
と、ちょっと疑問を感じていました。

それに答えを出したのが、『10年愛される「ベストセラー作家」養成コース』(http://eliesbook.co.jp/training/)同期の小岩さんが出されたこの本です(献本ありがとうございました>小岩さん)。


派遣 「勝ち組」へのステップアップ法 ―転機のつかみ方―』(三修社)(http://www.amazon.co.jp/dp/4384041268/


小岩さんの本をこの読んでいると、必ずしも「最初で全てが決まる」わけではないことに気づき、ほっとします。
何よりも小岩さん自身の経歴が「そうではない」ことを物語っています。

もちろん「派遣社員」のほうが、雇用条件としては確かに大変です。
正社員だと「守られている」立場だから、仕事、とくに対雇用元に関連する法律やトラブル回避法って、あまり意識せずに済んでしまうんですよね。

しかし、派遣という立場ですと、スポーツでいうとアウェイで試合をし続けるようなものですから、やはりそれなりに「ルールをしっかりと理解して」、「トラブル対応の理論武装」しないとだめなんですよね〜。

サッカーだって

  • 例えば大会ごとの「勝ち点、勝ち抜けのルール」を理解すべきだし
  • 「荒れ放題のグラウンド」とか「アラブの笛」とかに対応しなきゃいけない

ですよね。
これが出来てないと「国際Aマッチ」では試合にならないでしょ。

そういった「ルールの理解」そして「トラブル対応」の基本的なハンドブックとして必要なのが、この一冊です。

実際に「派遣社員」という形で働いている方にとっては、小岩さんの「社会保険労務士」という立場、そしてご自身が派遣社員という形で働いていた経験をあわせ、ケーススタディがふんだんに盛り込まれています。

コレを知っていれば、「派遣社員」というフィールドを選んでいても、「荒れているグランド」でちゃんといい試合をすることができて、ちゃんと「審判にアピール」するためのノウハウがあるということが分かるわけですね。


そして「実用書」としての視点以外に、わたしがこの本を類書と比べて好きな理由が1つあります。

それは、小岩さんが、この本を「ミッションスピリット」に従って書かれているということです。
小岩さんのプロフィールに以下のような文言があります。

幼少の頃から対人恐怖症に苦しみ、新卒で就職した会社を3か月で解雇されるも、派遣社員の経験を通じて自分を認めてくれる職場に出会い、再起を果たす。
自らの体験から、コンプレックスを背負った人でも、会社と一定の距離を保つことでスキルアップがはかれる派遣社員の働き方を、逆境をはねのけるメソッドと位置づける。

自分自身も、いろいろな事情で「対人恐怖」の気はありますし、いまだに、正常と「自閉症/アスペ」を分ける『自閉症スペクトラム診断テスト http://www.the-fortuneteller.com/asperger/aq-j.html で40点を切れないんですよね(ちなみに閾値が33点(笑))。*1

小岩さんが「コンプレックスを背負った人でも」と、あえてプロフィールに書くというところに、わたしはこの本、そして小岩さんのお仕事にかける「魂」を感じました。

小岩さんの活動をうらやましく思うとともに、「じゃあ自分は『マイノリティー』とされている人々に対して、いったい何が出来るのだろう」と考えさせられる一冊でもありました。

そして実は読了後、正直、「派遣をしつつ、専門家を目指すという生き方もあったかもしれないなあ」と感じています。今となっては手遅れかもしれませんが(^_^;)。


最後に、くりかえしになりますけど、確かに「派遣社員」という生き方は、メリットもある反面、「誰も守ってくれない」リスクがあるわけです。
あらためて、この本が、そういったときに、サバイバルする「命綱」になることを願ってやみません。

【10年愛関係者の皆さまへ】今回のエントリーに関して、わたくしは「著作権を放棄」します。ただし、『派遣 「勝ち組」へのステップアップ法』の発売・キャンペーン告知などの宣伝目的に用いられる場合に限ります。
← わたしのブログではpvも少ないので、気に入ったフレーズがあればコピペして使って頂きたいもんで♪)。

*1:ただし、精神科医のkyupinさんのブログ http://ameblo.jp/kyupin/ を読む限りでは、「アスペ」と診断される可能性は低いとおもいます。あくまでも「正常」←→「そうでもない」の「スペクトラム」ですし、DSM-IVで考えても、日常生活をとりあえずこなしていればわざわざ病名を付ける理由はありませんからね〜。